ビルトインガスコンロをセルフ交換する

ビルトインガスコンロとは

ビルトインガスコンロとは、システムキッチンに組み込まれたガステーブルを言う。据え置きタイプより大型でコンロは3口あるものが多く、一般に高機能、高価格である。据え置きタイプのガステーブルはゴムホースにて接続するためDIY交換が一般的で、ホームセンター等で普通に売られているのに対し、ビルトインガスコンロは金属管接続であるため有資格者が接続工事を行わなければならず、素人がやると違法となるため取り付け取り外しが容易ではない。そのため販売店では交換工事込み価格を提示していたり、或いは交換工事を依頼すると撤去込みで別途2万円前後請求されることが多く、これが最大のデメリットである。何しろ2万円あれば安価な据え置きタイプのガステーブルを買えてしまう。しかし、取り付けてしまえば何年も使うものであり、しかも可搬性を問うものではない。ゴムホースは露出配管となるが金属管は遮蔽配管となり、見た目にもビルトインガスコンロの方が優れているのは事実である。

ブランド

ビルトインタイプのガスコンロはその昔、多田金属工業が開発したものらしい。多田金属工業はかつてはターダというブランド名でガス器具を出していたが後にハーマンとなり、現在はノーリツの製造元である。両面焼きグリルを開発したのもハーマンである。つまり、技術では常に一歩リードしているメーカーがハーマン/ノーリツといえよう。しかしシェアの面ではリンナイがトップである。この二社に続くのがパロマである。バロマも有名メーカーではあるが瞬間湯沸かし器事故が相次ぎ、ブランドイメージを悪くしたように思う。また、この三社で各システムキッチンメーカーやガス業者のOEM製品を製造している。

種類

各社それぞれ大きく分けて、上位機種、中位機種、下位機種とあり、上位機種はAC100Vを使用することも多いのに対して中位機種以下は乾電池のみである。そしてそれぞれにガラストップ、ホーロートップなどがあり、75cmタイプと60cmタイプがラインナップされ、都市ガスとLPガスタイプが存在する。機器寸法は現在においては規格化され、ほとんどにおいて互換性があり、75cmタイプと60cmタイプさえ間違わなければまず問題ない。

何故LPなのか

我が家はLPガスである。実は前面道路には都市ガスも来ている。しかし工事にはかなりの金額がかかるのである。前面道路から引き込むのになんだかんだで10万円くらいかかる。普通は家を新築する際にそれを含めてやってしまうのだが、当時はIHも最後まで検討していた。仮に、後からIHにコンバートするならLPガスボンベを撤去するだけの方が配管とか最小限だし、工事費も最小限で済むだろうということで、新築時からLPにしたのである。コンロの更新を機に都市ガスにする、或いはIHにする、という選択肢があったわけだが、契約しているガス屋さんは実に良心的でこの15年、値上げらしい値上げもなく、しかも都市ガス並みに安価に供給してくれているので何の不満もなく、仮にここで都市ガス工事をしても工事費をガス代の差額で元を取れない。よほどのことがない限りこのまま使い続けた方がいいので今回もLPガスで更新することにした。我が家は暖房と給湯は灯油ボイラー、ガスに関してはコンロのみである。どちらかが統合されているならば自ずと選択肢は限られる。

ボロくなって交換を考える

我が家は2000年に新築し、最初に付けたガスコンロを15年ずっと使ってきた。クリナップ純正の3C-GAという機種で、リンナイのOEMである。

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ホーロートップの3口コンロというオーソドックスなもので特筆すべき機能は無い。機能が無いが故に故障知らずで最後まで全く問題なかった。が、要するにボロくなった。火は赤くなるし、あちこち錆びてくるし。やがては交換だろうなぁ、などと実は10年目頃から漠然と考えていた。その間、IHコンバート等も考えたりしたのだが、東日本大震災で停電した際にIHはダメだなっていうのが改めてわかったのでIH化は当面無いだろう。

選考

15年使ったのだから、次も10年以上は使うだろう。気に入らないからといって頻繁に買い替えるようなものでも無い。よって、最低限の選考基準を次のように決めた。

点火方式

乾電池式であること。上位機種は様々な機能を使用するのにAC100V電源が必要である一方、停電時にガスが使えないのはIHでもないのに間抜けでもある。もちろん非常時には乾電池が使えるようになっているものもあるが、そんな非常時に限って手持ちの予備電池が無いなんてことはよくある話である。地震の経験は大きい、停電が長く続いてもガスと水があれば何とかなる。だからAC100Vを使用する上位機種は検討対象からは外した。そもそもそんな高機能なものは不要だし、高価格過ぎる。グリルにダッチオーブンを使用できるものが上位機種には多く、その対応のために価格が高くなっている。ダッチオーブンをそんなに頻繁に使うことも無いように思う。あれはキャンプ等で屋外でやればいい。

クックトップ

クックトップパネルはガラストップであることとした。長らく使ったホーロートップはやはり見た目には美しくないし、年々汚れ落ちも悪くなる。我が家は60cmタイプしか適合しないので75cmタイプしかないモデルはこの時点で外れる。メタルトップも対象から外した。ステンレストップやアルミトップもあるが、キズは避けられないだろう。ガラスコートというのも最近はあるが、何とかコートって長持ちした試しが無いんだよね。

グリル

魚が好きである。今までは片面焼きの水入れ必要なグリルであった。ここは奮発してもいい。両面焼き水無オートグリルがどれほどのものか、経験してみても良いではないか。オートグリル搭載機種は中位機種以上がほとんどである。

フェイス

見た目にある程度こだわってフラットフェイスから選択してみた。ボタンが常時出ているモデルはほぼ下位機種であり、この時点で外れる。

その他

その他の機能は価格と比例する。いずれレンジフードを交換することを考慮すると、レンジフード連動機能はあった方が良いのかもしれない。

選択

まず、先に述べたようにメーカーは三社である。

リンナイ

上位機種から、デリシア、但しグリレは75cmタイプのみだから外す。ユーディアはAC100Vタイプのみだから外す。ユーディアエフは2口コンロで上面操作というやや特殊なものなので却下。リッセは条件合致。その他の下位機種はボタンが常時出ていてフラットフェイスという条件から外れるので却下。すると、デリシアとリッセの二択となる。デリシアは最上位機種なので文句ない機能だが高い。AC100Vを使用するモデルと乾電池式モデルで性能差がある。それらはほとんど電子オーブンレンジでカバーできる内容であり、そこにこだわる理由もないように思えるが、乾電池式モデルは下位に位置付けられているのかと思うとなんだかなーという感じもある。60cmのホーローゴトク、ココットオーブン無しモデルで実勢価格13万円前後。リッセはココットオーブン非対応であること以外デリシアから不足する機能はほとんど無いのでこれで困ることは無いが、ボタンがプラスチック色なのが残念。実勢価格10万円前後。

ノーリツ

上位機種から、スマートコンロ、プログレ、スタイリッシュブリンクアドバンス、スタイリッシュブリンクデュオ、ピアットとある。スマートコンロはWi-Fi対応とかよくわからんことになっているので却下。プログレも専用キャセロール対応といいつつそれは別売なので意味が無く、却下。スタイリッシュブリンクも専用ダッチオーブン対応といいながらそれは別売なので却下。残るはピアット、実は2015年秋に出たばかりでその前にはスタイリッシュブリンクレボアというモデルであった。レボアが無くなってピアットに代わったのである。新型になったと同時にデュオには無い炊飯モードやレボアにはなかったレンジフード連動機能が追加され、いい意味でお買い得となった。実勢価格は10万円前後。その他の下位機種はボタンが常時出ていてフラットフェイスという条件から外れるので却下。

パロマ

いまいちやる気が感じられない、メーカーに体力が無いのか。実質クレアとフェイシスの二択である。その他の下位機種はボタンが常時出ていてフラットフェイスという条件から外れるので却下。どちらもダッチオーブン対応だが別売。別売なので却下というのは、付いていれば買うかというとそういう意味では無い、そもそも対応の時点で高価なのだが、さらに高価な専用ダッチオーブンを買わないとその実力が発揮できないという時点で選択肢から外れてしまうのだ。実勢価格はクレアが15万円前後、フェイシスが10万円前後である。

なお、基本的にどのメーカーを選んでも相互に交換は可能である*1。以上からすると、最新型のノーリツピアットは実にお買い得である。ステンレスフェイスは地震に関して感震消火機能も付いているので安全、ピアットを調達することにした。 あちこち探して97330円で入手。定価は20万円オーバー、一体定価って何の意味があるのかね?西濃運輸で発送されたので再配達とかになると面倒だから*2、配達日には家に居るようにして受け取った。

撤去

撤去に関しては実は素人がやっても良い。というか、撤去して据付まではやっても良い。ガス管の接続だけが法的にNGである。それが本当かどうか、ガス屋に確認したところ「元栓閉めてやれば外すのはOKですよ」との回答。ちなみに取り付けを頼むと15000円から2万円の間だという(使用する部材等で多少変化する)。ホームセンター等で購入してもそれは同じだ。その場合、ネット購入して施主支給して依頼となるとつまり持ち込み交換だから、もう少し取られる場合もある。あまりお得とは言えない。では据付も自分でやって、ガス管接続工事*3だけ頼むといくらですか?と聞いてみると「状況にもよりますが3000円から5000円ですね」とのこと。これはもう、やるしかない。

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まず、ガスボンベの元栓を閉めて、さらに元栓も閉める。火が点かないことを確認してから外しにかかる。パイプレンチとモンキーレンチで接続は外すことができた。可とう管ってやつで要するにフレキシブル管であるから外すとこうなる。

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ガスの接続が外れてしまえばトップを持ち上げると本体を持つ取手が現れるのでそれを持って上に持ち上げるとコンロ本体が外れる。はっきり言ってめちゃくちゃ重い。外したらお掃除を念入りに。 はっきり言って、外した後の掃除はなかなか大変だがこれが肝だ。業者に頼んだからといってそれを念入りにやってくれる保証はない、だって新しいのを付けたら隠れてしまうのだからわからないではないか。隠れている汚れこそこの際落としたいものである。

据付

というわけでここまで来たので据付も自分でやる。掃除7割、据付2割、ゴミ処理1割ってとこか?

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右下31kgの表示。実に重い!

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メーカーはリンナイからノーリツへの変更だが、何の問題もない。慎重にやれば綺麗に収まる。ガス管接続位置がやや奥に変わったのでガス管を多少切断する必要があるかもしれない。逆に伸ばす場合はどうするのか、まぁ、フレキ管だと多少の差は吸収できるのかもしれないが*4

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据付完了、素人仕事はここまでである。ガス屋さんに電話してガス管の接続工事を依頼する。その日は無理で、次の日になったが一日くらいガスが無くてもどうにかなる。ガスを使わない刺身や電子レンジ調理という手もあるし、どうしてもという場合はカセットコンロもある。最後の手段は外食でもすればいいのだ。

接続

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翌日、依頼していたガス供給業者が来てガス接続工事を施工。筆者は仕事だったので奥さんが立ち会い、一時間ほどでできた模様。税別4000円とのことだった*5。非常に良心的な価格である。1万円以上は浮いたんじゃないかな?

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外したガスコンロはそのうち金属回収業者にでも持って行ってもらおう。



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*1 特殊なモノを除く
*2 ヤマトや佐川に比べるとね
*3 ガス結びと言うらしい
*4 それで工事費に変動幅がある
*5 後日ガス料金と共に引き落とし

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Last-modified: 2023-05-02 (火) 15:28:44
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