初級シスアド受験記

何の参考にもならない初級シスアド受験記

予め

申し上げておくが、このページは初級シスアド(情報処理技術者試験-初級システムアドミニストレータ)の受験に際しては、おそらく何の参考にもならない。
試験制度が変わったので本当に参考にならない。

冒頭からこんなことを言うのもナニだが、自分はパソコンに詳しい人らしい*1。しかし周囲からはそのように思われているようなのである。確かに8801/9801の時代から使い始めて20年余、台湾からAT互換機の部品を輸入して組み立てるという時代を経験し、現在ではLinuxも使っているし、Macも日常使う。その意味では確かにそうかもしれないが、100%趣味のハナシ。仕事で使う上では所詮は電卓や文房具の延長上にあるモノでしかないと思って使っている(いずれにしても普通に使っているだけのことである)。しかし、そういうことを含めて、それを他人との比較論で言えば(つまり相対的にしか語れないとしたら)、やっぱりそれはただの(ある程度)詳しい人にしか過ぎないのである。


絶対的な価値というか・・・客観的に証明とまではいかなくても何か裏打ちできるものは無いか。その最たるモノは公的資格である。情報処理系の資格はやたらあるが・・・国家試験であるところの初級シスアドは対象者像として掲げられている'利用者側において、情報技術に関する一定の知識・技能をもち、部門内又はグループ内の情報化を利用者の立場から推進する者'だから、割と近い。業務改善、ネットワークの設計、その運用と運用支援と管理、データの活用、セキュリティ・・・まさにいつもやっている仕事の範囲内とも言える。しかし、そういうものがあるとは知っていても、資格(試験)なんて全く興味が無かったのである。公的資格なんて運転免許を取ったのが最後だろう。別に情報システム部門にいるわけでもないし会社に取れと言われたのでもない、取ったところで給料が上がるわけでもないし何の役にも立たない。取るとしたらこれまた100%趣味のハナシ、自己満足ということになる。自己満足でやってきたことを国が証明してくれるのならそれに越したことは無いが、資格マニアでもないので特に興味が湧かなかったのである。


それでも漠然と意識し、改めて興味を持ったのは第二種情報処理技術者試験が無くなって制度が改訂された頃だから、平成13年(つまり2001年)頃だ。とはいえ、この年に現住所に家を建てて住み始めたわけで、つまりこれから始まる生活のナンダノカンダノで全然落ち着くわけがなく、その一方で景気もその頃はどん底だったし、公私共に雰囲気的にそれどころじゃなかった。時は漠然と過ぎて、本格的に雰囲気が変わったのが2005年秋のこと。会社で取引のある「とある商社」の人と名刺を交換した時に「初級システムアドミニストレータ」と肩書きがあった。これで火が点いた。なんだこれは、と(笑)。名刺に入れるほどの資格なのか(失礼)と、内心思った。よし、取ってやろうと思ったのはこのときである。つまり、本気でそう思ったのは2005年晩秋、意識してから4年も経ってからのことである。


しかし、この年の冬は大雪。いわゆる平成18年豪雪である。毎日が雪かきで勉強なんてできるような暇も体力も残らなかった。そのうち春が来て、それとなく情報処理技術者試験センターのページ見て、やる気を出したふりをしては、ネットに転がっている過去問を「試しに」解いてみた。しかしいざ過去問を解いてみると、合格レベルには遠かった。初級っていう名前の響きが悪い。全然初級じゃない部分もある、というか、守備範囲が広過ぎるのだ。簿記や統計、市場調査、経理関連に近い(というかそれそのもの)内容まで多岐に渡る。やはり真面目に勉強しないと合格できないらしかった。甘く見てたわけでは無いが、これでますます変にむかついたのである。絶対に取ってやる!


情報処理技術者試験には基礎力を問われる午前試験と応用力を問われる午後試験があり、それが一体となっているわけであるが、基礎知識を試される午前はいいが、鬼門は応用の午後だ。全然時間が足りないのである。読解力と計算力を試されている。つまり国語と算数である。やたら計算しなければならない割には電卓は使用禁止で、しかも使用禁止の割にはそれほど簡単な計算ではないのだから、こりゃたまらんのである。そして全くわかっていないSQL、これは本当にやる気にならないと合格できないぞと思った。そして本当に受けるんだという自分に対するプレッシャーのかけ方だ。「こんなもんいつでも取れるだろう」と思っていては絶対に取れない(国家試験を舐めるなよ)。


ネットを見ててもすぐ飽きて他のページを見に行ったりしてしまうなど頭には全く入らないので、参考書を買うことにした。まず買った本は新星出版社の「初級シスアド完全合格教本」である。

初級シスアド完全合格教本〈2007年度版〉 (情報処理技術者試験)(ノマドワークス)*2

これは教科書としては本当に素晴らしい本で、これ以上のモノは無いと思うし内容も全て網羅されている。仮に初級シスアドを受けないとしても「業務改善、ネットワークの設計、その運用と運用支援と管理、データの活用、セキュリティ」を学ぶ目的として、或はその参考書として活用するには非常に優れた本である。しかし、内容がやや難しい。一読してそう思った。初級シスアドを受験することすら挫折する人が多いというのも頷ける。特に分析だの、統計だの、経営だの・・・情報を処理する、つまりデータを活用する上での「情報処理」には違いないが「パソコン」という雰囲気から全く程遠い分野については詳しい解説があればあるほど遠ざけたくなってしまうのであった。そこで、この本は辞典的な活用をする(わからない、深く知りたい時に解決するための手段として読む)ための本、ということにした。


次に買ったのは技術評論社の「イメージ&クレバー方式でよくわかる栢木先生の初級シスアド教室」である。

平成19年度 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の初級シスアド教室(栢木 厚)*3

これは要点を押さえ、わかりやすく、平易な表現でまとめられていて一言で言えば「取っ付き易い」本である。つまり初心者向きで「広く浅く」といったところ。逆に、そのため基礎の基礎を解説するに過ぎず、内容的には不足している(後から思うに、この一冊では合格は難しいように思う)。特にこの本で午前はクリアできても午後はクリアできないと思う。つまり、暗記本的なところがある。まぁ、最初に読むには最適な本かと思うし、暇な時にちょいちょい読んで頭に叩き込むには都合が良かった(つまり買うべき順番を間違えたのだ)。


そのうちGWを迎え、クルマが壊れ(笑)、やる気も失せてくるというものだ。さて、秋期試験の申込が始まるのは7月中旬からである。申込は願書を請求して郵送する方法と、直接ネットからの2通りがあるが、郵送は切手代がかかるし時間が無いしで却下、クレジットカードがあれば受験料も払えるのでネットから申込することにした。試験期日は2006年10月15日、そう、3ヶ月間が勝負である。本格的に始動したのは盆休み明けくらいか。しかし奥さんが入院するなど本当にそれどころじゃなくなった時もあったが、なるべく合間を見つけてはどちらかの本は読むようにし、試験前一ヶ月からは過去問をひたすらやった。過去問はネットに転がっているが、解説が無いので回答に至るプロセスがわからない。そこで解説付きの過去問題集を買うことにした。技術評論社の「初級シスアドパーフェクトラーニング過去問題集」である。

平成19年度春期 初級シスアド パーフェクトラーニング過去問題集 (情報処理技術者試験)(芦屋 広太/矢野 龍王/岡嶋 裕史)*4

過去の試験問題を完全収録し、問題と解説、解答が掲載されているので模擬試験としても使える。暇を見つけては「栢木本」を読み「過去問題集」をやって、間違えたところは解説を読みつつ「完全合格教本」で勉強し直す、というスタイルでわからないところを集中して効率的に勉強した。それにしても「いけるんじゃないか」というレベルには全くといって良いほど来なかった。午前は良いが、午後がキツい。最終的に正解率はある程度のレベルまでいくのだが、時間通りにやると全く時間が足りないのである。これはまずいと思った。3桁を超える掛け算や割り算など、とにかく計算が遅い。というか、普段PCや電卓にやらせるから自分の頭を使わないんだよな。


全くわからなかったSQLに関してはラッキーなことに仕事でMySQLを使う機会があって、実際に触ることが出来たので、若干理解できた(実際触れないと飲み込めない性質なのだ)。表計算の問題も実際にスプレッドシートに打ち込んでみれば理解が早い。とはいえ、そればっかりやってるわけにもいかない。二月には子供が産まれる予定になっていたし(実際には一月に産まれたが)、そのための準備もいろいろしておく必要があった。子供が産まれたとしたら春試験はナンヤカヤで受けられないことは必至、事実上は背水の陣でもあった。それに受験料は払ったので受けないのは損。試験は「とりあえず現状で何点取れるか」を知るためにもダメ元で受けようと思った。受験票が来たら写真が必要ということで、この手の常識6ヶ月以内の無帽無背景ってやつだったが、この歳にもなると顔自体そんなに変化が無いので、何年か前に運転免許更新用に用意した時の余った写真を貼り付けておいた(笑)。


試験当日。試験会場である秋田経済法科大学附属高校(当時、現・明桜高校)に受験に向かった。ものすごく天気がいい日だった。奥さんに弁当を作ってもらって、クルマで送ってもらうことにした。駐車場は無いので公共交通機関やタクシーを駆使して行くか、クルマで送ってもらうしかないのである。しかもこの周辺にはコンビニも無いし、試験会場を含めて近所には食堂やレストラン、ファーストフード、ラーメン屋すら無い(ちょっと離れたところにはいずれもあるのだけれど、歩いていける距離ではない)。よしんばあったとしても混雑は必至なので、弁当持参は必須である。上履きも持参しろとあった。まぁ、このあたりはそもそも学校なのだから仕方ないのである。会場に着いたらまずトイレに入る、というのは基本原則である(笑)。しかし、この高校のトイレのドアは変だった。西部劇のバーのドアみたいになっている(上下が空いていて中間だけバタバタした扉が付く)のだ。受験票にある受験番号を元に会場の教室を探し、教室に入ると座席を探した。座席は教室の前方入口、つまり黒板に向かって右端の一番前が一番若い番号で、左端の一番後ろが末席である。自分の番号はたまたま末席であった。昔から背がデカかったせいか、一番後ろは雰囲気的にも慣れていた。すぐ横にあるスチームの暖房機がヤケに懐かしかった。

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座席には座席票が置いてある。それにしても高校の机って狭い。椅子も小さい。ケツは痛ぇし。学生の頃、良くこんなのに一日中何時間も座っていたもんだと思う。試験前に説明(諸注意)があった。試験としては極めて普通の注意であったが、物珍しかったのは、挙手をして試験官が認めた場合「試験開始から30分経過すれば退席しても良い」ということであった。試験時間は150分、つまり2時間半である。2時間半もかかるであろうと想定して設問しているにも関わらず30分で退席する輩なんかいるはずが無い、いたとしてもそれは試験を諦めた負け組か、情報系の専門学校とかの回答速報係など「本職」かどちらかだろうと考えた(この変な期待は後に焦りにもつながる)。


さぁ、試験の開始である。午前はいわば「常識問題」みたいなモノである。が、ちょっと計算しなければならない問題、引っかけ問題も多数ある。参考書籍や過去問を一通りやっておけばおよそ解ける。一方で、新技術なのか何なのか不明だが(日頃からネット上でIT関連の情報に目を通しておけばわかるのか!?)参考書籍に載っていない、過去問にも現れない、全く知らないワケワカな言葉が出ていたりもしたので、適当に選んでマークしておいた。わからんモノは四択なので何かしら塗っとけば良いのである。午前は全問解いて2回見直しても時間が余り、20分残して退席した(つまり130分かかった)が、30分での退席許可が出るとどんどん席を立つ輩がいて、実際そうされるとかなり焦った。


天気がいいので昼飯は外(グランドの土手)で食べた。飯の後は参考書籍の類は見なかった。往生際の悪いことをしてもいいことが無いのだ。トイレに行ってぼーっとしてるとすぐ午後試験の時間になった。直前にまたトイレに行く。近いのではなく、試験途中でトイレに行く余裕なんておそらく無いと思われたからだ。過去問をやってみて「午後は途中退席なんてできるはず無い」とわかっていた。二時間半もトイレを我慢して集中できる自信が無いので出し切るが如く何度でも行くべきである(笑)。30分経過して(退席許可が出て)もまだ問1に取り組んでいたが、退席する輩が数人いてかなり焦る。おいおいそんなわけないだろう、と。こんなに難しい(面倒くさい)のに、30分でできるような問題なわけがないでしょうよ。やつらは絶対に「負け組」である、時間はまだある、落ち着け、と心に言い聞かせた。でも、やつらは余裕な顔で教室を後にしていた(ように見えた)。・・・それからは、それはもう必死だった。午後は残り5分となってもまだ10ヶ所くらい回答を残していた(そのくらい時間が足りない)。もちろん残しても損なので時間切れにならないように適当に埋めたけれど「あぁ、午後はダメだったな」という印象しか残らなかった。「午前はまぁまぁの手応えだったしまぁ大丈夫だろうけれど、午後で落ちただろうな」というところだ。配点の具合でどうにかなるかもしれないがまずダメだろうと思っていた。合格率は3割、元々そんなに高くない。ネットにおける受験体験記を見ても「午後はキツい」「午後は時間が足りない」「午後で撃沈した」というもっぱらの前評判であり、これは例年変わらない傾向のようである。自分もそういう中の一人だったか、そうか、という思いだった。


ぞろ目ということでゲン担ぎで11月11日にネットで成績照会してみることにした。受験票と共にパスワードが印字された紙が送付されており、受験番号とそのパスワードを入力すればネット上で成績照会ができるのである。しかしその紙をどこにやったものか探しても見当たらない、と思っていたら捨てられていた、やれやれ。ハナから期待はしていないのだがどうしても点数は知りたかったので(午後何点だったのか、それは知りたかった)ごみ袋からサルベージ。照会したらなんとあろうことか635点/635点で合格(むしろ午前の635点が意外、そんなに間違えたのかよ、俺)。

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何はともあれ、一発合格って気分がいい。合格者の番号から推察するに、自分が受けた教室を40人として8人しか合格者がいないから合格率は2割。結構ハードル高いんだなぁと再認識。まぁ、難しかったよ、確かに。何度見ても合格。不思議。なぜ受かってる?


別に取ったところで何の役にも立たないこの資格、つーか、受けたのも趣味の延長。合格したのは配点の具合が運が良かったのかもしれない。まぁ、受かってしまえば満点で合格しようがギリだろうが、同じである。めでたしめでたし。合格のコツ、それはとにかく過去問をやることと、どんどん解くこと。わからないやつは後回しにしてどんどん埋めること。もちろん最後は当てずっぽうでも全部埋めることだ。情報処理技術者試験の中で一番難易度は低いとは言われるが、やたらとたくさんの人が受けるからだろう、合格率も低い。コンピュータのことだけ知ってればいいというわけでもなく(E-R図だのDFDだの減価償却だの)逆にいえば全くPCを触ったことが無い人でもきちんと勉強すれば合格できるこの資格だが、趣味範囲における知識確認と割り切って受けるというのが正しい姿勢かもしれない。ネットには「基礎知識があれば数週間で合格可能」なんていうハナシも見かけるが、そんなのは嘘に決まってる。名刺交換から始まった意地で受けたのだが、受かると気分がいいのは間違いない。もちろん、この資格が自分の名刺に載ることは無いし、載せようとも思わないが。

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トータルコストとしては、受験料5100円。本が1680円+1659円+1764円、計10203円であった。


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*1 自分では決してそんなことは無いと思うのだが
*2 筆者が購入した版とは異なる
*3 筆者が購入した版とは異なる
*4 筆者が購入した版とは異なる

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Last-modified: 2014-11-07 (金) 07:07:16 (1439d)